カトリック 英神父の説教集 ○キリスト教のおはなし○

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2016-10-16「 君の名は。」

英神父 ミサ説教 聖イグナチオ教会 ミサ於

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ルカによる福音 18章 1-8節 そのとき、イエスは、気を落とさずに絶えず祈らなければならないことを教えるために、弟子たちにたとえを話された。「ある町に、神を畏れず人を人とも思わない裁判官がいた。ところが、その町に一人のやもめがいて、裁判官のところに来ては、『相手を裁いて、わたしを守ってください』と言っていた。裁判官は、しばらくの間は取り合おうとしなかった。しかし、その後に考えた。『自分は神など畏れないし、人を人とも思わない。しかし、あのやもめは、うるさくてかなわないから、彼女のために裁判をしてやろう。さもないと、ひっきりなしにやって来て、わたしをさんざんな目に遭わすにちがいない。』」それから、主は言われた。「この不正な裁判官の言いぐさを聞きなさい。まして神は、昼も夜も叫び求めている選ばれた人たちのために裁きを行わずに、彼らをいつまでもほうっておかれることがあろうか。言っておくが、神は速やかに裁いてくださる。しかし、人の子が来るとき、果たして地上に信仰を見いだすだろうか。」十

 今日の福音書は、わたしたちが絶えず祈らなければならない。あるいは、最後のところを見ると、信仰を持って歩んでいくことの大切さを、イエス様が語っていると思います。このやもめという弱い人が、裁きをしてくれるよう、必死に裁判官に頼む事によって、裁判官ですら聞き入れてくださったから、わたしたちは神様にどれほど熱心に祈らなければならないか。神様を信じて、行動しなければならないかを語っているように思います。
ただ、わたしたちが何を願っていくのか。何を祈って行動していくのか。自分勝手な願いではなくて、そこに神様のみ旨、神様の望み、神様の実現したいと思われることこそ、適えられるのではないか。
わたしは中高生会とか青年会とか、若い人とつきあっているので、若い人向けの説教をしたいと思うのですが。最近、若者から是非とも観たらいいという、二つの映画を勧められて。一つは「シン・ゴジラ」でゴジラ映画の最新作で、もう一つは「君の名は。」1950年代のではなくて、最近アニメになっているもので、その二つが抜群におもしろいから、としきりに勧められたので、二つとも観たんですが。
二つの映画が、期せずして同じようなテーマが根底にあるようで、3・11のあとの自然災害の問題がありますが、自然災害からいかに人を救うか。というのが、全然ちがう映画のようにみえて、実は共通するテーマなんですね。「シン・ゴジラ」は簡単で、ゴジラが責めてきて、日本政府と人類の英知をもってしてくい止めようとする。ゴジラが自然災害の一つの象徴として、原発の象徴でもあるんですが。
「君の名は。」というのは、青春恋愛映画みたいなものですが、実は本当のテーマはそうではなくて、大災害から多くの人を救えるか、救えないか、そういうお話につながっていく。非常に重いテーマが語られています。
映画の結論はこれから見る方のために控えますが、男子高校生と女子高校生の二人が色々なことがあって、自然災害から人々を救えたか、救えなかったか、最後の最後になるまでよくわからない。「君の名は。」というタイトルどおり、すれ違いの映画なんですね。二人はほとんどすれ違っているんですけれど、最後に出会えるか、出会えないか。お互いの名前さえわかるか、わからないか。
なんでこの話をしようと思ったかというと、舞台がこの四谷あたりなんですね。男子高校生が住んでいるのが千代田区六番町。道路の向こうに住んでいる。初めてのデートの待ち合わせ場所が地下鉄四ツ谷駅前(笑)デートが終わるシーンが信濃町の陸橋の上。その高校生がバイトしているレストランが新宿御苑にある。
しかも二人が偶然すれ違うシーンが、ここから歩いて10分程の須賀神社。そのそばにわたしが下宿していたので詳しいのですが。高校生が通っている高校が新宿にある。このあたりが舞台で何度もここら辺がでてくる。
最後、何がはっきりするかというと、人類を自然災害から救うために、神様が二人を選んでいた。わざわざ神様が不思議な方法で二人を選んでいて、二人がいわば祈りと自分自身の存在をかけて、くい止められるか、られないかを必死でおこなっていくような展開になっていく。
「シン・ゴジラ」は人間の力を結集して自然災害から人間を救う。それはそれで感動するですが、「君の名は。」のほうは、神様が、人間を通して、それをしようとする。それに対して、主人公が祈りの心をもって、立ち向かっていくようなことなんですね。わたしたち信仰者にとって、どちらが問われるかというと、明らかに「君の名は。」の映画の方が問われるだろうと思います。
わたしたちが何を祈っていくのか。このやもめのように、ただ祈るだけではなくて、必死に裁判官の所に行ってお願いにいったり。祈りというのは行動と切り離せない。祈りというのは、信じる信仰とは切り離せないんですね。でもそれは神様が望んでいるからこそ、わたしたちは必死になって祈ることができる。あるいは信じて、祈りが適うように努力していくことができるのではないかと思います。
さらに言うならば、わたしたちは、神様のみ旨を行うために、この世に生まれてきたと言えるかもしれない。人間の意志で生まれてきたわけではない。わたしたちの日々の行動は、自分のしたいことや適えたいことを、適えるために生きていくのではないと思います。神様がわたしたち一人一人に生を与えてきたときから、神様はわたしたちに果たしてほしい使命や、適えてほしい役割。神様の望みがあってこそ、わたしたちが生まれてきて、そして今も一人一人が神様の望みを果たすように、主はわたしたちに呼びかけておられる。
ただ本当のところはわからない。日々のことに追われていたり、色んな事がありますから、神様が何を望んでいるのか、それすらはっきりとわからないですけれど。でもわたしたちが真剣に神を信じ、祈り求めていくならば、神のみ旨が実現していく。それはわたしたち一人一人の協力にかかっているのですね。神様は自動的になんでも動かすわけではない。わたしたちを通して、神様の救いの業をこの世界に現わす。
自然災害ではなくても、様々な苦しみや困難や、うまくいっていない状況がみなさんの周りにも、世界にも多々あるのは確かです。それに向かってわたしたちは立ち向かっていくように、神様の救いの業がわたしたちを通して果たされていくように。それが主の願いであることは間違いない。わたしたちが神様に向かって願う以上に、神様はわたしたちに強く願っていると思います。期待している。わたしたちを通してこそ、神様がこの世界の中で、自分の願いを実行していきたいからですね。
わたしたちは時々、なんでこうなったのか、なんで自分の思い通りにならないのかと。神様に文句を言いたいことも多々あるでしょう。でも神様は人間以上に、実現したい計画がわたしたちに託されているのに、救いの計画が遅々として進まないことを、神様はもっとイライラされたり、嘆いておられるのではないか。「君の名は。」の主人公ほど大きなことは託されていないとは思いますが、わたしたちに託された小さなことを、神様が実現したいと思うことこそを、わたしたちが望み、願い、それを果たしていけるように、このミサでお願いしましょう。
そしてこの一週間、神のみ旨こそ、わたしたちが全力を尽くして果たしていけるように、その恵みを特に願いましょう十

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 第一朗読 出エジプト記17章 8-13節 

 アマレクがレフィディムに来てイスラエルと戦ったとき、モーセはヨシュアに言った。「男子を選び出し、アマレクとの戦いに出陣させるがよい。明日、わたしは神の杖を手に持って、丘の頂に立つ。」ヨシュアは、モーセの命じたとおりに実行し、アマレクと戦った。モーセとアロン、そしてフルは丘の頂に登った。モーセが手を上げている間、イスラエルは優勢になり、手を下ろすと、アマレクが優勢になった。モーセの手が重くなったので、アロンとフルは石を持って来てモーセの下に置いた。モーセはその上に座り、アロンとフルはモーセの両側に立って、彼の手を支えた。その手は、日の沈むまで、しっかりと上げられていた。ヨシュアは、アマレクとその民を剣にかけて打ち破った。

 第二朗読 使徒パウロのテモテへの手紙 第二 3章14-17節・4章1-2節

 愛する者よ、自分が学んで確信したことから離れてはなりません。あなたは、それをだれから学んだかを知っており、 また、自分が幼い日から聖書に親しんできたことをも知っているからです。この書物は、キリスト・イエスへの信仰を通して救いに導く知恵を、あなたに与えることができます。 聖書はすべて神の霊の導きの下に書かれ、人を教え、戒め、誤りを正し、義に導く訓練をするうえに有益です。こうして、神に仕える人は、どのような善い業をも行うことができるように、十分に整えられるのです。
   神の御前で、そして、生きている者と死んだ者を裁くために来られるキリスト・イエスの御前で、その出現とその御国とを思いつつ、厳かに命じます。御言葉を宣べ伝えなさい。折が良くても悪くても励みなさい。とがめ、戒め、励ましなさい。忍耐強く、十分に教えるのです。十

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