カトリック 英神父の説教集 ○キリスト教のおはなし○

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20180107教皇の若者との対話

英神父 ミサ説教

新成人のためのミサ 聖イグナチオ教会於
ルカによる福音 6章46-49節 「わたしを『主よ、主よ』と呼びながら、なぜわたしの言うことを行わないのか。 わたしのもとに来て、わたしの言葉を聞き、それを行う人が皆、どんな人に似ているかを示そう。 それは、地面を深く掘り下げ、岩の上に土台を置いて家を建てた人に似ている。洪水になって川の水がその家に押し寄せたが、しっかり建ててあったので、揺り動かすことができなかった。 しかし、聞いても行わない者は、土台なしで地面に家を建てた人に似ている。川の水が押し寄せると、家はたちまち倒れ、その壊れ方がひどかった。」十

  成人式のミサにあたり、成人を迎える方々のためにふさわしい福音をということで、このルカの福音書の6章46節から朗読しました。イエス様の言葉を聞いて行うようにしなさいと。それは「岩の上に土台を置いて家を建てた人に似ている」ということです。成人式を迎えて大人になるということ。大人として生きていくということは、この「岩の上に土台を置」く、そのような家に似ていると言えるかもしれない。あるいはみなさんがこれから岩の上に土台を据えて生きていく。そのような生き方を心がけたらいいと言えるかもしれない。この土台を据えるというのは、大人として生きていく上でどういうことか、どこに土台を据えて生きていくのか。たまたま去年の十二月に、教皇フランシスコが隣りの上智大学で若者と対話集会を行ったんです。ヴァチカンとネット中継で上智大学、イエズス会関係や高校生なども集まって、いくつか質問して、その場でパパ様が答えるという。今でもそれをYouTubeでみることができます。そのうちの中の若者からの質問の一つが、「今の若者に対して心配なことは何ですか。何を本当に大切にしたらいいでしょうか。」というものでした。パパ様の答えは成人を迎える方にはふさわしいことだと思いますが、こう答えられました。一つは現代は忙しくてすごく動く時代だと。あまりに忙しさに流されてしまうと何かが無くなる可能性がある。それはルーツだとおっしゃるんです。特に若い人に心がけてほしいのは、自分のルーツをしっかりと見い出して、ルーツに根ざして生きるようにしてくださいと。確かにルーツが無いと、わたしたちは根なし草のようにフラフラするだけになってしまうこともある。だから自分のルーツをしっかり見い出して欲しいとパパ様はおっしゃっていました。ルーツというのは自分自身の文化であるし、歴史であるし、そして家族の繋がりであるし、そしてわたしたち信仰者にとってみては、神様との繋がり、信仰ということも自分のルーツになると思います。まだこれから学ばなければならないのは、自分のルーツをしっかり探してつかむということです。なんとパパ様が黒澤明監督の映画を引用して言うんですけれども、お年寄りの話をよく聞くようにとおっしゃっていましたね。つまり自分自身のルーツをしっかり見つけるために、自分がどこから生まれてきたのか、どういうものの中にいるのか、自分自身の文化とか国民性とか、日本国籍以外の方がおられるかもしれませんが、自分自身の民族のルーツをしっかりと見い出す。あるいは自分自身の家族の繋がり、自分の両親や祖父母、あるいはもっと上かもしれないですけれども、自分自身のルーツが無いと本当の花を咲かせないと言うんです。これからみなさんが活躍されていくと思いますけれども、でも活躍するのはルーツからエネルギーを汲む時なんです。植物が花を咲かせるのは、どこから力を得ているかと言うと根からだと。土の下の根からエネルギーを汲んで、そこから花を咲かせることができる。だからみなさんがしっかりと自分自身のルーツを、人間としてのルーツを、信仰のルーツをしっかりと見い出していく。その学びは本からかもしれないし、お年寄りの話を聞くことかもしれないし、あるいは自分自身の記憶をしっかり振り返ることかもしれない。過去のルーツから今を見て未来を見ろと、パパ様はおっしゃるんですけれども、本当にその通りだと思います。みなさんがしっかりして時流に世間に流されることなく、自分自身のアイデンティティーと自分の根をしっかり持つということ。それをこれからも心がけてほしいと思います。そしてパパ様はもう一つ、よくおっしゃることなんですけれども、根を生やすからといって、ジッとしていたらダメだと言うんです。家でネットやゲームばかりで外に出ないような、そのような生き方をしたらダメだと。みなさん一人一人には様々なチャレンジに向かっていく。自分から出ていく積極性と勇気を持って生きていきなさい、ということも強くすすめておられました。外からくるものに対しては不安や怖さがあるかもしれない、将来とか今の何かとか。それに果敢に向かっていくことが必要だとパパ様がおっしゃるんですけれども、自分に閉じこもって25歳で定年退職をする人がいるとおっしゃっていましたが、それは確かにもったいないと思います。土台を据えて大人になっていくというのは、現実や社会に向かって。あるいは自分自身に来る様々なチャレンジとか困難とか、あるいは呼びかけとかそういうものにこたえて動いていく時に、みなさんの人生はダイナミックに開いていくと思います。それはある時は失敗するかもしれない。ある時はものすごく大きな力になるかもしれない。でも知らないもの、未知なるもの、そういうものに向かってぶつかっていくというか、関わっていくというか。その中でみなさんの秘めているエネルギーが発揮されていくと思います。それをパパ様がすすめていることですけれども。そういうことを通して岩の上に土台を据える本当の大人になっていけるのではないかと思います。そのようなことを心がけてください。ついでに言うとこのパンフレットの最初に谷川俊太郎の「成人の日に」という詩も載せてあります。わたしたちは段々大人になっていく。表現は詩的ですが、現実の中でわたしたちがしっかり根をおろしながら現実の社会で、人と人との関わりの中で喜んだり苦しんだりする中でわたしたちは大人になっていくものだ。この谷川俊太郎が成人のお祝いに書いた詩ですけれども、これもみなさんにプレゼントしたいと思います。みなさんがこれから一日一日、一歩一歩、人となっていく自分らしい生き方、自分の今の夢が少しづつかなっていくように。あるいはみなさんが求めているものが本当に見つかるように、力強く一歩づつ歩んでいけるように、みなさんで祈りをささげたいと思います十

 

 

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第一朗読  イザヤ書 60章1-6節
(エルサレムよ、)起きよ、光を放て。あなたを照らす光は昇り、主の栄光はあなたの上に輝く。見よ、闇は地を覆い、暗黒が国々を包んでいる。しかし、あなたの上には主が輝き出で主の栄光があなたの上に現れる。国々はあなたを照らす光に向かい王たちは射し出でるその輝きに向かって歩む。目を上げて、見渡すがよい。みな集い、あなたのもとに来る。息子たちは遠くから、娘たちは抱かれて、進んで来る。そのとき、あなたは畏れつつも喜びに輝きおののきつつも心は晴れやかになる。海からの宝があなたに送られ、国々の富はあなたのもとに集まる。らくだの大群、ミディアンとエファの若いらくだがあなたのもとに押し寄せる。シェバの人々は皆、黄金と乳香を携えて来る。こうして、主の栄誉が宣べ伝えられる。

 第二朗読  エフェソの信徒への手紙 3章2-3、5-6節
 (皆さん、)あなたがたのために神がわたしに恵みをお与えになった次第について、あなたがたは聞いたにちがいありません。初めに手短に書いたように、秘められた計画が啓示によってわたしに知らされました。この計画は、キリスト以前の時代には人の子らに知らされていませんでしたが、今や“霊”によって、キリストの聖なる使徒たちや預言者たちに啓示されました。すなわち、異邦人が福音によってキリスト・イエスにおいて、約束されたものをわたしたちと一緒に受け継ぐ者、同じ体に属する者、同じ約束にあずかる者となるということです。

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 「成人の日に」  谷川俊太郎

 人間とは常に 人間になりつつある存在だ

 かつて教えられたその言葉が

 しこりのように胸の奥に残っている

 成人とは人に成ること もしそうなら

 私たちはみな日々 成人の日を生きている

 完全な人間はどこにもいない

 人間とは何かを知りつくしている者もいない

 だからみな問いかけるのだ

 人間とはいったい何かを

 そしてみな答えているのだ その問いに

 毎日のささやかな行動で

 人は人を傷つける 人は人を慰める

 人は人を怖れ 人は人を求める

 子どもとおとなの区別がどこにあるのか

 子どもは生まれ出たそのときから小さなおとな

 おとなは一生大きな子ども

 どんな美しい記念の晴着も

 どんな華やかなお祝いの花束も

 それだけではきみをおとなにはしてくれない

 他人のうちに自分と同じ美しさをみとめ

 自分のうちに他人と同じ醜さをみとめ

 でき上がったどんな権威にもしばられず

 流れ動く多数の意見にまどわされず

 とらわれぬ子どもの魂で

 いまあるものを組み直しつくりかえる

 それこそがおとなの始まり

 永遠に終わらないおとなへの出発点

 人間が人間になりつづけるための

 苦しみと喜びの方法論だ

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2018年 1月 7日(日)18時ミサ
 新成人のためのミサ 〈赤〉 B年
 カトリック麹町教会 主聖堂於
  イエズス会 英 隆一朗 助任司祭 ミサ説教記