カトリック 英神父の説教集 ○キリスト教のおはなし○

☆。・:*:・゚☆。・:*:・゚☆。・:*:・゚☆イエズス会 英隆一朗司祭の福音朗読 ミサ説教 講話などの公式ブログです☆。・:*:・゚☆。・:*:・゚☆。・:*:・゚☆

2019-03-10 洗礼志願式

英神父 ミサ説教 聖イグナチオ教会 於 

    youtu.be

ルカによる福音書 4章1-13節 (そのとき、)イエスは聖霊に満ちて、ヨルダン川からお帰りになった。そして、荒れ野の中を“霊”によって引き回され、四十日間、悪魔から誘惑を受けられた。その間、何も食べず、その期間が終わると空腹を覚えられた。そこで、悪魔はイエスに言った。「神の子なら、この石にパンになるように命じたらどうだ。」イエスは、「『人はパンだけで生きるものではない』と書いてある」とお答えになった。更に、悪魔はイエスを高く引き上げ、一瞬のうちに世界のすべての国々を見せた。そして悪魔は言った。「この国々の一切の権力と繁栄とを与えよう。それはわたしに任されていて、これと思う人に与えることができるからだ。だから、もしわたしを拝むなら、みんなあなたのものになる。」イエスはお答えになった。「『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」そこで、悪魔はイエスをエルサレムに連れて行き、神殿の屋根の端に立たせて言った。「神の子なら、ここから飛び降りたらどうだ。というのは、こう書いてあるからだ。『神はあなたのために天使たちに命じて、あなたをしっかり守らせる。』また、『あなたの足が石に打ち当たることのないように、天使たちは手であなたを支える。』」イエスは、「『あなたの神である主を試してはならない』と言われている」とお答えになった。悪魔はあらゆる誘惑を終えて、時が来るまでイエスを離れた十

 今、朗読した聖書の箇所は、イエス様が四十日間、荒野で過ごされて「悪魔から誘惑を受けられた」そのような記述です。四旬節の四十日間を過ごすというのも 、この荒野での四十日間 を模範としていると思います。四旬節の四十日間を過ごす。そして洗礼を受けられる方々の準備も、四十日間、心を込めて洗礼に向かっていくことになります 。今日は100人以上の方が洗礼志願式を受けられるということで嬉しく思います。みなさん方は心を込めて洗礼に向けて準備をされていかれると思います。その準備の一つは、今日のイエス様が悪霊の誘惑に打ち勝ったように、わたしたち一人一人が悪霊の働きに打ち勝っていくということです。二番目の誘惑で悪魔が 「この国々の一切の権力と繁栄とを与えよう。それはわたしに任されていて、これと思う人に与えることができるからだ。」国々の権力や繁栄は悪霊が握っているということです。悪霊の顔をして出てきたらわかりやすいのですが、わたしたちの日常生活では、悪霊は変装してわたしたちの心に誘惑しにきます。つまりこの世の中には、悪の誘いがあちこちにあるということを気をつけなければならないと思います。     ナポレオン・ヒルという著者の自己啓発本の中で、悪霊と話し合って、人間をどのように堕落させるかということが書いてあります。ナポレオン・ヒルと対話している悪霊が言うんですが、悪霊の一番の手段は、流れを作って、人間たちをそちらの方向に流してしまうというようなことが、悪霊の一番のやり方だというです。悪霊がイエス様の前に姿を現すというのはほとんどないんですが、みなさんも悪霊の姿を、本性を見た人はほとんどいないと思います。むしろいつのまにか流されてしまうというのが、悪霊の一番のやり方だということです。マスメディアだったり、いろいろなものでいつのまにか流されてしまって 、神様から離れてしまう。所有欲、食欲、快楽、権力、富とか、様々なものにわたしたちがいつのまにか流されていくということ自身が一番の問題でしょう。気づいたらわたしたちは何とかできますが、気がつかないうちになんとなく流されて、みんな悪霊の方に行ってしまう。それを一番警戒しなければなりません。四十日間わたしたちはイエス様と心を合わせて振り返なければならないです。自分が神様から離れたり、神様と違う生き方をしているというのはどういうところなのか。わたしたちは心して振り返って、いつのまにか神様から離れているのはどこか。あるいはこれから洗礼を受けられる方々は、今までの人生の中でどのように流されてきたのかということをしっかり見据えて、それに打ち勝っていくということをしなければなりません。この洗礼志願式ですけれども、一番昔々の洗礼式では悪魔祓いの式でした。この後、洗礼志願者には油を塗りますが、それは悪魔祓いの塗油でした。まさしく今から悪霊と手を切っていくということを表しています。そして共同祈願の最後のお祈りは、解放を求める祈りという訳ですが、昔はそこも悪魔祓いのお祈りでした。洗礼志願式から悪霊の働きと手を切るということを始めるということにあたります。 それを皆さんが心がけてくださったらいいと思います。そして本当に悪霊との絆を退けますというのを洗礼式で宣言するんです。洗礼式の時こそ本当の意味で悪霊と手を切ると、はっきりと宣言します。だから今はその準備期間ですから、まさしく自分の心の中、自分の周りにいる悪霊と、闇の力とか罪とか、色々なものが世の中にはあるので、そういうものをしっかり見極めて 断ち切っていくということを心がけてくださったらいいのではないかと思います。 本当にイエス様はすごいと思うのは、悪霊が出てきてあっさり退けています。ドロドロの戦いでイエス様がやっと勝ったというわけでありません。 イエス様はどれほど悪霊に強いかということです。イエス様は打ち勝っているから、イエス様を信じることによって、わたしたちも打ち勝てるということです。自分の力だけではすぐ負けてしまいます。わたしたちが 横綱と相撲するようなものです。でもイエス様が悪魔に対しては、横綱がわたしたちをやっつけるぐらいの力があるんです。悪霊は逃げていってしまう。わたしたちはイエス様を信じることによって、悪の力に、罪のしがらみに打ち勝つことができるということです。悪霊を退けて イエス様を信じていけるように、この四十日間を心して準備してください。そして洗礼を受けている方々も同じです。悪の力とか、しがらみとか執着心に、度々わたしたちは巻き込まれてしまいますが、それを四十日間で断ち切って、また新たな神の子供としてスタートがきれるように、この四十日間を洗礼志願者の方々と共に、わたしたちも悔い改めの心で、神の子としての生き方ができるように、 大切な期間として過ごせるように、ともに祈りをささげましょう十

第一朗読  申命記 26章4-10節
(モーセは民に言った。)祭司はあなたの手から(初物を入れた)籠を受け取って、あなたの神、主の祭壇の前に供える。
あなたはあなたの神、主の前で次のように告白しなさい。
「わたしの先祖は、滅びゆく一アラム人であり、わずかな人を伴ってエジプトに下り、そこに寄留しました。しかしそこで、強くて数の多い、大いなる国民になりました。エジプト人はこのわたしたちを虐げ、苦しめ、重労働を課しました。わたしたちが先祖の神、主に助けを求めると、主はわたしたちの声を聞き、わたしたちの受けた苦しみと労苦と虐げを御覧になり、力ある御手と御腕を伸ばし、大いなる恐るべきこととしるしと奇跡をもってわたしたちをエジプトから導き出し、この所に導き入れて乳と蜜の流れるこの土地を与えられました。わたしは、主が与えられた地の実りの初物を、今、ここに持って参りました。」
あなたはそれから、あなたの神、主の前にそれを供え、あなたの神、主の前にひれ伏し(なさい。)」

第二朗読  ローマの信徒への手紙 10章8-13節
(皆さん、聖書には)何と言われているのだろうか。
「御言葉はあなたの近くにあり、あなたの口、あなたの心にある。」
これは、わたしたちが宣べ伝えている信仰の言葉なのです。口でイエスは主であると公に言い表し、心で神がイエスを死者の中から復活させられたと信じるなら、あなたは救われるからです。実に、人は心で信じて義とされ、口で公に言い表して救われるのです。聖書にも、「主を信じる者は、だれも失望することがない」と書いてあります。ユダヤ人とギリシア人の区別はなく、すべての人に同じ主がおられ、御自分を呼び求めるすべての人を豊かにお恵みになるからです。「主の名を呼び求める者はだれでも救われる」のです十

 

 2019年 3 月 10 日(日)10:00 ミサ 洗礼志願式
  四旬節 第 1 主日〈紫〉C 年 
   カトリック麹町教会 主聖堂於
    イエズス会 英 隆一朗 主任司祭 ミサ説教記