カトリック 英神父の説教集 ○キリスト教のおはなし○

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190730 イエズス会 総長 来日講演

イエズス会 総長 ソーサ神父 講話 聖イグナチオ教会 於

「今日のイエズス会の協働」 通訳:酒井 陽介神父  

  わたしはここでみなさんと共に時間を分かち合うことができて本当に嬉しく思います。これからイエズス会の使徒職全体の方向づけについて、みなさんにご説明し、分かち合いたいと思います。明日はちょうどイグナチオ・ロヨラの記念日ですから、 聖イグナチオがわたしたちにどんなアドバイスをしたか、 その部分を含めながら、みなさんと分かち合いたいと思います。 ヨハネによる福音書 5:17 「わたしの父は今もなお働いておられる。だから、わたしも働くのだ。」というこの言葉。これがわたしたちの使徒職の方向づけのインスピレーションであり、それが最たる理由になっています。これをわたしたちは識別してきました。そして今からお話しする中で、特に協働についてみなさんに分かち合いたいと思います。それはキリストが教会に託したミッションをわたしたちが遂行する上で、共に力を合わせていくという方向づけです。
コリントの信徒への手紙 二 5:18「 これらはすべて神から出ることであって、神は、キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。」これもまた使徒職の方向づけにとって大切なインスピレーションになっています。わたしたちは和解のために奉仕職に呼ばれています。これに参加するように招かれているのです。わたしたちは和解と正義のためのミッションに呼ばれています。教会から託された使命なんですが、全ての人を含みます。すなわち単にイエズス会員だけではなくて、一緒に働く共同者、全ての人と共に、このミッションに呼ばれていると自覚していきます。
イエズス会員は今 15,500名ほどいまして、非常に多文化、多国籍な共同体になっています。そして世界中で多くの共同体の地で働き、この多様性はまさにいろいろな方々を含めて、イエズス会 の宣教の祈り、そして同じ使命を生きていきます。当初はヨーロッパや北米からたくさんの宣教師たちがやってきて、アジアやアフリカ、ラテンアメリカに来てくれました。そしてそこで分かち合った宣教の実りが、今わたしたちが見ている実りだと思います。わたしたちはまさに多様性の一致、そしてそれはキリストにおける一致です。キリストはわたしたちの頭であり、わたしたちは異なった能力や召命を持っていますが、キリストにおいてはそれが一つとなり、同じ宣教にあずかります。
イグナチオ・ロヨラの生涯をご存知の方は よくお分かりでしょうけれども、イグナチオはキリストと出会って自らを巡礼者と呼びました。そしてキリストによって力づけられて、一つの所に留まるのではなくて、彼は歩みを前へ前へと進めて行きました。わたしたちの召命は共に寄り添って歩み出す 召命です。それはまさに常に途上であるという生き方。まさにアブラハムのように神に呼ばれ、神に新しい生き方を示され、どこに行くかも分からないけれども、信頼を持って歩みだす生き方です。
イエズス会 第36回 総会で指し示された、使徒職全体の方向づけの意見というものは、イエズス会員と共同者みなが全て参加すべきである、という方向づけを示してくれています。 これはイエズス会では初めての試みです。それはイエズス会員だけで識別するのではなくて、共に働く共同者として一緒に識別をする。これは非常に新しい方向づけなのです。それゆえにイグナチオと初期会員たちが、わたしたちに残した霊的な遺産、霊的な根源に戻るということなのです。 これから十年間、わたしたちの あらゆる使徒職に焦点を当てた方向性が示されます。そして何をするかということではなくて、どのように実行するのかを促すものであり、それは霊的な道筋をわたしたちに示してくれます。これは非常にダイナミックな霊の導きにわたしたちは委ねるという試みです。 そしてこれは 優先順位をつけるものではありません。進むべき方向です。優先順位というと、他のものを置いて 、一つだけのものを選んで、それをみなが従うということですけれども、進むべき方向は それぞれの場によってそれを探して識別していくということです。 これは非常にダイナミックな行動をわたしたちに要求します。すなわち生活というものと、わたしたちの使命というものが 遊離しているものではなくて、非常に意味ある還元を持って事がなされます。すなわち生活と使命はとても切り離すことが出来ないのです。 こうしてみなを含めて共に識別していきます。 過去二年間では、わたしたちは徹底してこれをやってきました。 この使徒職の全体の方向づけは、わたしたちが勝手につくり上げたものではなくて、教皇様がわたしたちに託した思いがそこには詰まっています。教皇様からのミッションです。これはわたしたちが教皇様から与えられた使命であり 、これは勝手につくったものではなくて、教皇様からわたしたちに託されたものであるという、そういったことをわたしたちに教えてくれています。
この方向づけには三つのポイントがあります。それはまず 1. 置かれている状況を丁寧に知るということ。2.場所を知る。3. 時をしっかりと感じるということです。わたしたちが住む社会すべては、世俗化した社会です。 保蔵的な不正の問題、若者を取り囲む環境の問題。傷ついた地球のありよう。そしてそれはすべて使徒的共同体として、わたしたちが前に歩んで行く方向を示してくれます。その中で見つけるというミッションがあります。 これはとても大切な点ですけれども、イエズス会員がこれをもう少ししっかりと評価し判断し、我々が変わっていくということを意味します。そしてこれからはどのように方向づけを成していくか、一緒にみていきましょう。1 から 4 というのは特に優先順位ではありません。一緒にお話しすることができないからで、これは全体で一つだと思ってください。霊操、そして識別を通して、わたしたちは神への道を示すということ、これがとても大切な第1の要素になります。 この世俗化した社会が、わたしたちにとって時のしるしとなります。すなわちそこに神の霊が働いて、そこが現場であるとわたしたちは考えます 。この世俗化した社会こそ、わたしたちに新しい機会を与えてくれる、そういった場であると捉えます。ここで大切なことは、 霊操をより深く生きることで、個人としても、 また共同体としても、 より 深くイエス様と個人的な出会いと交わりをし、それによって支えられて、変えられていくということです。 わたしたちはイエス様を他の人々に分かち合うことができます。そのことで霊的な会話、そして霊性の経験を分かち合うことで、この世俗化した社会の中で、神の働く時のしるしを受けとります。
2番目は排除された人々、追いやられた人々と共に歩む方向づけです。貧しくされた人々、貧しい人々の所にわたしたちは行く、いる、ということ。わたしたちは貧しい人と共にいることで、イエス様の同伴者になっていきます。 遠くの人と一緒に歩くということではなくて、近くにいる人々、すなわちそのような貧しい人々の近くに行って、共に歩いて行くことです。 社会正義のために、社会に変化をもたらすために、わたしたちは働きかけをします。 わたしたちは移民や人身売買された人々、また 先住民族 の人々の文化や権利を守り擁護するという働きもします。 10月にアマゾンに関してのシノドスが行われます。そこでは環境問題だけではなくて、現地の人々の文化や生活の権利というものが話されます。わたしたちは共通善に配慮する政策によって、市民を育成する民主社会の力をかすことを目指します。 これは教会内外の、あらゆる虐待を排除するという、そういう働きも兼ね備えています。
3番目は希望に満ちた未来の創造において、若い人と共に歩むことです 。若者に同伴するということは、若い人が実際に置かれている現場、いきているところにわたしたちが赴くということです。そこで彼らの気持ち、思いを 共有するという動きです。若者に同伴するというと、わたしたちは何かをすると捉えがちですが、わたしたちの方向づけにおいて、わたしたちが若者から学ぶ、若者によって助けられ、学び、力を得て、そして彼らと共に歩んでいくことを目指します。
4番目は地球環境への配慮です。これはとても複雑で大規模なかかわりと言えます。そしてわたしたちの変化というものが要求されます。 わたしたちはこの問題の一部分であるのだと、意識しておく必要があります。そして地球に配慮した新しい生活の生き方。そして実践していくことで、このような状況に対する解決策をわたしたちが作り出していく、そういった使命を持っています。 今の消費に基づく現在の生活習慣をまず変えること。そしてわたしたちは小さい行いを探し、実践していきたいと思います。わたしたちはこの方向づけをきく時に一番の 誘惑というのは、わたしはこの分野に関しては、すでに十分な実践を納めているとか、こういうことはもう既に考えているとかという言い訳をしてしまうことですが、そういうものではなくて、この4つの方向性からわたしたちは勇気をもらいインスピレーションをもらい、わたしたち自身の生活を変えていく、あり方を変えていく、それはマジス、すなわち更なる高みを目指していく、その生き方に招かれていくという、この4つの方向性がわたしたちに示してくださいます。 このようにみてきた方向づけを、もっと深く霊的にそれを理解し定めていくために、これから4つのポイントを紹介します。
第1に 知性に訴えるものです。 わたしたちは熟慮しなければいけない、しっかりとそれを捉え、分析する態度が要求されます。 2番目は協働ということです。みながキリストのミッションの協働者である。みながここに関わる。わたしたちが変化をもたらすためには、みなの力が必要だということです。3番目は 協働に不可欠なのは信頼です。信頼に欠けていたら協働は成り立ちません。 そして4番目はネットワークづくりということです。 これもコラボレーションの一つですが、いろいろな協力体制を整えていくことで、より大きく、効果がある活動へと繋がっていくために、このネットワークづくりは欠かせません。この4つの方向づけは、わたしたちの心と生き方を回心する。単なる個人ではなくて、共同体でも回心し変わっていくようにかりたてるものです。
最後にわたしはこのエフェソの教会への手紙 3:21 の言葉で締めくくりたいと思います。 「わたしたちの内に働く御力によって、わたしたちが求めたり、思ったりすることすべてを、はるかに超えてかなえることのおできになる方に、 教会により、また、キリスト・イエスによって、栄光が世々限りなくありますように、アーメン。」これは全て、神のより偉大なる栄光のためということです+

 質疑応答 <方向付け・オリエンテーションとは>

 オリエンテーションという言葉は、規則とか何か決まりで従わなければならない道というものではありません。オリエンテーションといった場合、それは聖霊の呼びかけに、わたしたちは応えていくために、わたしたちの心を開いていく、わたしたちの生き方を、その聖霊が呼びかけてくださる方向に、わたしたちはもっともっと自由に勇気を持って心を開いていくという事、それが識別をするために不可欠な態度、あり方であるということです。
識別というものは、使徒的方向づけに不可欠です。使徒的方向づけのない識別は、実践的な実学的なものになってしまいますし、識別のない方法は意味が無いということです。それぞれが異なった状況、環境において、どのように聖霊の呼びかけに応えていくか。またその中でそこの現場にいる人々がその状況を識別し、どのような呼びかけがなされているか。それをもってして初めてわたしたちは使徒的方向づけというのがなされます。この三つがあって初めて意味がある方向づけを、今日わたしが伝えているということです。

  質疑応答 <若者の同伴者となるには>

 わたしたちが若者に同伴するということは、若者と仲間、友達になっていくということです。彼らの近くに行く、彼ら一人一人が持っている愛する力、持っている良さというものに気付いて、尊敬し、彼らのところに近づいていくということです。 この呼びかけは非常にチャレンジを含んでいます。とても難しいものです。なぜなぜならば何よりも彼らの世界、彼らの考え方、ありようというものを知る、そういう呼びかけだからです。 キリスト教の信仰というものは 決して押し付けるものではなくて、生きている時に、信仰をわたしたちが感じとるというものです。ここで大切なのはわたしたちの生活に一貫性を持つということです。すなわちキリスト者として言葉と行いにおける一致があるということ。それを証しできるかという点です。 キリスト教の信仰は希望のメッセージそのものですから、希望のメッセージを、希望溢れる若者に分かち合っていく、それを果たしていくということが大切なのではないかと思います。 キリスト教における希望というのは、何もせずに待つことではないのです。それはわたしたちが大切なキリスト教的な徳であり、行動に移していく。わたしたちが責任を持って関わって、行動に移していく呼びかけです。もしこのように若者たちに向かって、希望を分かち合って、彼らと手を取って歩むならば、それ自体が希望のメッセージとなって分かち合えるでしょう+

<英 主任司祭 挨拶>

 わたしはこのイグナチオ教会の主任司祭をしております。総長様、アルトゥーロ・ソーサ神父様、日本に来ていただいてありがとうございます。わたしがイエズス会に入会してから、日本で総長様に会うのは、これが三人目です。だいたい十年に一度しか、イエズス会員の一会員が会うことはありません。それだけ貴重な機会ではあります。今回このように信徒の方々の前でお話しをしていただくのは、初めてということです。今までの総会長はイエズス会員のためだけに来られて、イエズス会員とだけ会っていました。今回は時代が変ったと思います。協働の時代になりました。だからイエズス会員だけのためではなくて、イエズス会と共に働いている信徒の皆さん、シスターの皆さんと共にイエズス会の総長の話を聞けることを非常に嬉しく思っています。今日はイエズス会が今、何を大事にしているのか、どういうことに力を入れようとしているのかを、信徒の方々と共に聞けるということを非常に嬉しく思います。ここに来られているのは、この教会の方々だけではなく、黙想の家や社会司牧センター、中学高校の先生方も来られています。イエズス会と共に働いている、様々な協力者が励まされて、これからも共に頑張っていけるように、そのように励ましをしてくださればありがたいと思います。
それでは集っているみなさまに、ソーサ神父様がどういう方か、簡単にご紹介いたします。1948年、第二次世界 対戦直後にベネズエラにお生まれになりました。そしてベネズエラで育ち、教育を受けられました。高校生の頃に今でいうCLCのメンバーになられて養われ、その時に出会ったイエズス会員の人々に刺激を受けて、イエズス会に入会を決められました。そして哲学、神学の勉強の後に、とりわけ興味があった政治学で博士号をとって、大学教師になられました。それと同時に社会使徒職に強く興味を持たれて、社会司牧センターの所長。また当時、南米で盛んだった貧しい人のための学校、そのような活動にも深く関わっておられました。そしてイエズス会の総会議というものがありますが、十年に一度ほど、世界中のイエズス会の代表者が集まるんですが、第33回総会議にベネズエラ管区の代表として参加されました。その時は34歳で、総会議で最も若い参加者でした。その後ベネズエラの管区長をされて、イエズス会の評議員や顧問をされました。そして最近ではローマにある国際的な機関、グレゴリアン大学、カトリック雑誌、バチカン天文台など様々な 統括責任をしておられました。そして2016年に第36回 総会の時に総長に選ばれ、そして今、全世界のイエズス会員を率いているリーダーということです+

  

2019 年 7 月 30 日(火)19:00 来日 講演                                                                              「今日のイエズス会の協働」
  カトリック麹町教会 主聖堂 於 
     イエズス会 第 31代 総長                                                                                                                   アルトゥーロ・ソーサ神父 講話記