カトリック 英神父の説教集 ○キリスト教のおはなし○

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210501  ヨセフ様 どうか道をお示しください

英神父 ミサ説教 聖ヨセフの記念ミサ

 聖ヨセフのミサをするにあたり、本当は少しでも信者の皆さんと一緒にこのミサを捧げられたら良いと思ったのですが、緊急事態宣言の中で厳しい状況になってしまったので、非公開ミサで、役員の人や関係者の方々極少しだけ。聖堂そのものにはそういう形でミサを捧げることになりました。多くの方は YouTube を通して参加されていることだろうと思います。ヨセフ様の事を考えるとこのような形の中でミサを行うことも何かふさわしいような気もします。
ヨセフはご存知の通り、今朗読した婚約の時の混乱もありますが、結局イエス様を産む時、あるいは産まれた後のエジプトへの逃走というか避難というか。様々な苦難の中にヨセフ様はおられたわけで、この苦難の中にある私たちが、苦難を乗り越えながら歩まれたヨセフ様のミサをこうやって祝うことは非常にふさわしいような気持ちもします。
今朗読した所は、ヨセフ様が婚約当時の自分と関係なしにマリアが妊娠したという、非常にスキャンダラスというか、ヨセフ様にとっても衝撃的なトラブルから始まるわけです。その中でヨセフ様は正しい人であったとありますが、本当のところは神の御旨を探し求めるような、そういう誠実なタイプだったと思います。ヨセフ様はよくよく考えて、マリア様が妊娠している以上、自分と結婚するのは良くないと。ここは密かに別れるのがいいと、彼なりに一番良かれと思う答えを自分なりに出したんですけれども、でも神の考えはそれをさらに越えていて、天使が夢に現れて、この子こそ特別な存在なので、マリア様を迎え入れるようにという、思いもよらない道をヨセフ様に示し、そしてヨセフ様はそれは選んでいったわけです。ヨセフ様と神との関係は、私たちに大きなヒントを与えてくれている気がします。私たちも様々な困難や、今は特にコロナのことがあって直面しなければならない時に。もちろん人間的に考えて私たちはどうするべきかということを考えて、これがいいんではないかと、そういうのも必要ですが、それをさらに越えて神様の働きがあって、そこに私たちがどう心を開いていけるかどうかということが、私たち一人一人にも問われている気がします。
眠っている間に夢の中で知らされるということですが、それは夢の中と言えるし、ヨセフ様の潜在意識の深いところに神が働きかけているといえるでしょう。それはヨセフが深い深い祈りの人で、神との交わりを深めて、あるいは神の御旨を真摯に求めていたからこそ、このように神様が特別な方法で道を示してくださったということだと思うんです。
この誕生の所でも、身重のマリア様を旅に連れて行かざるを得なくなって、ベツレヘムで、しかも馬小屋でお産をしなければならない、そういうトラブルもあって。しかも産まれてよかったねと思ったらすぐ、エジプトに逃げなさいという。ヨセフ様は神様に心を開いてたからこそ、すぐにエジプトに逃げることができたわけだし、エジプトから戻る時も同じように神様から示されて戻っている。様々な困難やトラブルがあるけれど、肝心なところで神様がちゃんと導いておられて、その導きをヨセフ様がしっかり聞いて、それに従うことができているという。困難の中にあるわたしたちが参考にすべき姿ではないかと思います。ヨセフ様は労働者の保護者でもあるし、教会の保護者でもあるし、家庭の守護者でもあるわけです。職場においても家庭においても、教会においても、思わぬ困難が私たちに突然振りかかってくることが、いつもじゃないけれど、しばしばある。コロナの中で時々襲ってくるわけです。その中でこそヨセフ様の態度。困難が来た時にそこで冷静に考えながらどうしようかと考えると共に、神の導きは何なのかということを願っていくならば、やはり主がちゃんと示してくださっている。私達は困難を避けたり乗り越えたり、困難を越えた神様の導きに従っていけるのではないかと思います。このヨセフの態度に心から私達の模範として倣っていきたいと思います。
私の一人の知り合いの男性が仕事で行き詰まって、どうすればいいかわからなくなった。ヨセフ様みたいに夢を見て、山登り、崖っぷちをトレッキングしている。夢の中で崖の途中で上にも登れないし、下にも降りられない。上にも下にも行けなくて、岩肌に張りついてどうしていいか分からなくなって、神様助けて下さいと言ったんです。ふと横を見たら、登山服の男の人がいて、こっちにどうぞと言ったら、横に山道があって、そこを歩いて行けた。男の人は多分ヨセフ様だろうということです。その夢がきっかけに仕事で全く行き詰まってたのは、ある方向性が見えて、想像もしていなかったある解決方法が現れて、その危機を乗り切ることができたと言っていました。
私たちも最初から奇跡的な事を願うというよりは、当然わたしたちも力を尽くして考えにおいても行動においても、それを越えた神の導きが主が示してくださる。ヨセフがそのような守りを導きを与えてくださるという。その信頼のもとにいきたいと思います。
今は緊急事態宣言でいつ明けるのか。これが明けてどうなるのか。2021年もどうなるのか。みなさんのお仕事もそうでしょうけど、教会の行事にしても一か月先ですら、どうすればいいか決められない。すごく流動的な日々です。
私たちはこういう時だからこそ誠実なヨセフ様に執り成しの祈りを願いながら、私達も先まで見通しは出来ないけれども、今あるものを受け止めながら、歩んで行く道を一歩一歩示して頂き、それを一歩一歩、歩んでいけるように、私達の職場においても、家庭においても、みなさん一人一人の人生においても、そのような歩みをこのコロナの困難の中で、続けられるように、ヨセフの執り成しを願いながら、心を合わせてこの祈りを捧げたいと思います+