カトリック 英神父の説教集 ○キリスト教のおはなし○

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2021年 新年メッセージ

      新年おめでとうございます

     神の母聖マリアの祝日にあたり

      主の平和がありますように

                麹町聖イグナチオ教会
                主任司祭 英 隆一朗


 昨年は大変な困難の1年でしたが、それでも小さな恵みがあったことに感謝です。新しい年は聖母マリアのとりなしによって、希望のうちに歩んでいきたいです。

 コロナウイルスによる感染症の脅威はまだしばらく続くでしょう。この冬はかなり厳しい状況になり、大いなる忍耐が必要でしょう。しかしながら、春以降、かなり和らぐような気がします。この冬は現状を維持しながらじっと耐えるしかないですが、その先にも目を向けていきましょう。教会としても、個人的にも、コロナ後に向けた新たな展開のため準備していく時期に入ってくると思います。ただ単に元に戻るのではなく、コロナ危機を糧にして、さらに力強い歩みが求められています。希望をもって、未来へと歩み出しましょう。


 1月1日は世界平和祈願日にあたり、教皇フランシスコより、新年メッセージが出されました。今年のテーマは、「平和への小道であるケアの文化」です。ケアとは、配慮・気配り・世話と訳される言葉です。平和への道はケアの心と実践が必要だということです。
 平和を守っていくためには、核兵器の廃絶をめざし、国連や政府の交渉や連携が不可欠ですが、私たち一人ひとりにもできることがあるでしょう。それは、教会の中でも身の回りでも、ケアの文化を築いていくことだと、教皇は主張しています。


「ケアの文化は、平和を築くための特別な道です。それは、すべての人の尊厳と善を保護し促進するための、皆が参加することを前提とする、共通の連帯的な責務であり、関心をもち、目を向け、共感し、和解し、いやし、互いを尊重し受け入れる意欲でもあります。」
(メッセージ9.)


 ケアの一つの意味は、心配りや気づかいです。クリスマスや新年の季節にあたり、あの人はどうしているかな、この人にはもう少し気配りが必要かなという具合に、ケアを心がけるよいチャンスでしょう。日頃忘れていたが気になっている人を思い出し、あれこれ思い巡らしてみましょう。特に苦しんでいる人、悩んでいる人に想いを致しましょう。

  ケアのもう一つの意味は、実際の世話や手入れです。困っている友人や家族のために、まずは祈りをささげてみましょう。そして、久しぶりに電話をしてみる、年賀状を送ってみる、できる範囲で会ってみるなど、さまざまな具体的ケアの形が工夫できるでしょう。コロナの中にあってこそ、ケアの心を活かしたいものです。そのようなケアの積み重ねから、世界の平和が築かれていくのではないでしょうか。
 教皇のメッセージを糧にして、世界平和のために、身近なところからこの平和を築いていくように心がけましょう。コロナが明けた折には、もっと積極的にケアの文化を築いていきたいです。


「愛と平和、兄弟愛と連帯、助け合いと相互受容の新たな地平にむけて進むために、皆で協力しましょう。他の人々、とりわけもっとも弱い立場にある人に対して無関心でいようとする誘惑に負けないようにしましょう。目を背けるのに慣れないようにしましょう。そうではなく、『互いを受け入れ、互いをケアする兄弟姉妹から成る共同体を築く』ために、具体的な努力を日々、重ねていきましょう。」(メッセージ9.)


 教会においても、身の回りでもケアの文化を築いていけますように。
 なお、教皇メッセージ全文は、カトリック中央協議会のHPをご覧ください。
www.cbcj.catholic.jp